遠山刑事部長

第一の理由は、彼の下の名前が明らかにされていないということ。これまで 複数回登場している準レギュラー的存在であるにもかかわらず名前の紹介がないのは不自然。さらに、剣道大会で起こった殺人事件を平次が解決した後の服部邸で の遠山と平蔵の会話「けど平蔵、お前のガキんころにそっくりやで。「これは先が怖 いな。」「おい、酒はあかんぞ遠山。お前、車やろ。」この会話を見てもわかる 通り、2人は子供の頃からの親友である。一方が「平蔵」と名前で呼んでいるのに、 もう一方が「遠山」と苗字で呼ぶのは不自然。つまりこの段階では遠山の下の名前を明らかにできない理由が作者にはあった、と考えられる。

→遠山の下の名前は"銀司郎"。映画「天空の難破船」クレジットより

第二の理由、それは灰原が「クラヨシ」という言葉に反応したこと。コナンは当初、携帯のプッシュ音は倉吉市の市外局番であると考えていたが、実際は違っていた。倉吉市と組織は全く関係ないはずなのに灰原が反応した理由。「クラヨシ」が 地名でないとすれば考えられるのはただひとつ、そう、人名である。灰原はコナン が組織のボスの名前、遠山蔵吉の存在に気づいたと感じ、動揺した、とは考えられないだろうか。

第三の理由、それは灰原の「ただでさえ信じ難い人物・・・」という台詞。これは、組織のボスは、本来凶悪な組織を取り締まる立場の警察関係者で、しかも大阪府警の刑事部長という非常に社会的地位の高い、キャリアの警察官僚である、ということを示唆したものだとも考えられる。

第四の理由、それはアニメ版の声優の交代である。アニメでは遠山は2回登場しているが、初回登場時の声優は佐古とかいう、聞いたこともない人物だったが、2回 目はベテランの声優である小川真司氏が起用されている。これは今後、遠山が重要人物化する布石ではないだろうか。

→声優の交代は、初代遠山役だった佐古正人さんが亡くなったためである。

第五の理由は、灰原と遠山は面識がないこと。そして前述の平蔵の「酒はあかんぞ」という台詞。遠山は車で来たのにもかかわらず飲酒したのは、平蔵に送らせ、車内で話をするためだったが、ただ2人で会話するのにそんな事をする必要性はない。作者があえてこの様なシーンを描いた理由は、メンバーが酒の名前のコードネームで呼ばれている組織、その組織の黒幕がこの人物だと印象付けたかったらと考えられる。